ラジオ専門雑誌『ラジオパラダイス』(『ラジオライフ』ではなく、ラジオ番組に焦点にした雑誌)が1冊だけ残っていたので書き起こしてみた。
スキャナーは持ってないしPHSにカメラが付いてないので画像をアップ出来ないのが残念だが、そのうちヤンタンをやっていた頃のダウンタウンのインタビューを書き起こししてみた。
この頃、ダウンタウンは『4時ですよーだ』で大阪でアイドルとして大人気!という頃。
最初に高校時代とNSC時代についてインタビューがあるがそこは省略しました。
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今日もちょっと疲れているみたいですが、最近はどんなスケジュールを?
浜田「昨年は秋になってから20校以上の学年祭がドバーッと入ってきて、朝の8時、9時にはもう起きて会場へ駆けつける。何しろ毎日夕方の4時から生のテレビが入っているので、学園祭は早い時間に片付けなくちゃならへんから、もうメチャクチャですわ。そのMBSテレビ『4時ですよーだ』が終わるとOBC『ラジオ2丁目劇場』のなかで流れる短いダウンタウンのラジオドラマの録り。木曜日はMBSへ言ってヤンタン。午前1時に終わって寝たら、朝一番で東京へ行って『ひょうきんミニ放送局』の録画。土、日曜はほとんどがテレビドラマの録りという感じですわな」
松本「「ですからボクらは舞台にはよう出んようですわ。正直言えば今舞台に出て漫才しても昔のネタやるだけでしょ。お客さんがそれでもいいというならかまへんというならかまへんけど、逆にボクらのほうはストレスが溜って、しょうもなくなってしまう。最近思うんやけど、漫才で笑いとるのってカッコ悪いんやないかな」
浜田「笑かすために話を作っているというのがもうカッコ悪いんですわ」
松本「なんちゅうかぁ、段取りをちゃんと組んで最後に落とすというんはほんまにおもしろいんか?たとえば舞台に上がって『実はこの前なぁこんなことがあってなぁ』といえば相手が『ホーほんまかいな』という。ほんまかいなやあらへんがな(笑)笑いとるためにやっとるだけやんか(笑)こんなこといってしまえば身をふたもないんだけど、最近はこんなのがほんまにおもろいのかと感じてます。 そこへいくとラジオちゅうのはほんまにおもしろいことを自然な形でいうことができるんで楽しいですわ」
浜田「テレビはテレビで自由がきかんところが多いあるけど、ラジオはほんまの自分たちでやれるからいいわ」
松本「逆に、『おっ、このネタはラジオのためとっておこう』と思いますもんね」
そうすると「ヤンタン」の時は楽しみ?
松本「これはほんのちょっぴり、ほんまちょっぴりの不幸なんですけど、ボクら”ラジオ運”についてないんです。今度のヤンタンは木曜日でしょ。次の日は朝一番で東京なんです。やっぱ深夜の1時前放送して、次の朝早く起きること考えると辛いんですわぁ。次の日のこと考えて手を抜いて放送するじゃありませんけど、ほんのちょっぴり気にしてまう」
じゃあ、もし次の日がオフというならヤンタンはもっと面白くなる可能性がある?
松本「ちゅうワケでもありませんけど(笑)、せめて昼過ぎまで寝れるくらいはしたいですねぇ。深夜12時くらいを回って、『明日8時に起きて、9時の新幹線に乗って…』と予定を想像すると、もう気分がローになってきて。—ヤンタンの放送はそれとの戦いになってきますね(笑)」
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松本「ほんまに悪う思いますけど、ラジオって真剣にきいたことないんです。特にある特定のパーソナリティを熱心に聞き通した経験なんてまったくありません」
浜田「わざわざ深夜に起きて、開始時間になるとスイッチを入れて聞くことはありませんでしたね。
ただヤンタンのなかのひとつのコーナーだったと思うやけど、かなり昔に海原千里・万里さんが5分くらいの漫才をやってたんですよ。それを一時期よく聞いてた記憶は確かにあります」
昨年の夏から紳助さんの後を引き継いでヤンタンを始めたわけですが、リスナーにしてみれば『待ちに待ったダウンタウンの登場』という雰囲気が強かった。実際担当し始めていかがですか。
松本「ヤンタンといえばもう20年近く続いている名番組でしょ?ボクらはあんまり知らんのですわ。ただ他の曜日の人たちはみなさん年齢が高い人ばかりなんで、自分たちだけ浮いてるかなって気にしますが、まぁボクらはボクらで勝手にやっていきますから関係はないんですけど」
そこがポイントであって、ヤンタンの世代交替の第1番手が、すなわちダウンタウンだと思うんですが。
松本「他の曜日の人たちがどんな放送をやっているのかよう知らんのですけど、ヤンタンってイベント好きでしょ。野球大会やったり—-。ああいうのはちょっと辛いなぁ」
2時間30分という時間に関しては?
浜田「もともとデビューして初めてレギュラーもらったんがラジオで、しかも放送時間が2時間もあったんで(OBC『おっとモモンガ』)ヤンタンが長いとは感じませんね」
松本「どうせなら3時間欲しいですわ。お笑いの人間がラジオをやる場合、のってくるとそのくらい余裕は欲しいですね」
『2丁目ダウンタウン』も含めて、リスナーからのハガキの反応は?
松本「おかげで今のところ質の高いハガキが多いんで、放送がすごく楽ですね」
浜田「こっちの調子が悪うなっていても、ハガキのデキがいいんですごく助かりますね」
松本「おもしろいことに、テレビ、ラジオを含めて、ボクらの番組にくるハガキの種類がそれぞれの番組で傾向がすごう違ってる。おそらくすべてにダブって出している人が何人もいるだろうに、同じ人のハガキでも、番組によってカラーが違っているのは不思議だし、ラジオの魅力ってもんを感じますねぇ。
たとえばボクらが売れなくなっても、ラジオ番組だけはレギュラーのうちの1本に入れておきたいですねぇ」
ところで、NSC後輩の圭・修が一足お先に、オールナイトニッポンを担当するようになりましたが、特に意識するようなことは?
松本「こんなこといたらいかんのかも知らんけど、圭・修はかわいそうやと思いますよ」
かわいそうというのは?
松本「馴染みのない人間がいきなり全国ネットの放送のなかに登場するのは、かなりキビシイものがあるんとちゃいますまっか。もしボクらに声をかけてくださいっても今も断ります」
浜田「実際のところ、ニッポン放送からはそれとなく話があったんですけど、今東京で2時間やってもボクらはもたないのがわかってますからね。とりあえず遠慮させていただきました」
東京に出てきて、あっけなく潰されてしまった大阪の芸人さんてたくさんいますしね。
松本「ラジオの入り方というんは、他の誰かメインがいて、そこにサブとして入って、ちょっとずつメインになっていくのが理想ですよね」
でもダウンタウンはいきなりメインで登場してきましたよね。
松本「ハイそうですね。サブというのはなくていきなりメインでしたから、辛かったですよ。『2時間の枠を転がしていけ』と言われてもねぇ。逆言えば他の人のラジオを聞いたことがなかったし、聞こうとも思えへんかったのが良かったという気がしますね」
番組には東京からのハガキはよくきます?
浜田「ウ~ン、くることはくるけど特に多いとか目立つとかいうことはないですね」
で最近はテレビに顔が出る機会も多くなったし、東京の人の反応も強く感じるようになってきたのでは?
松本「もうゼーンゼン(笑)」
浜田「無いに等しい!」
でも東京進出はマジに考えてる?
松本「ウム・・・・・・。そうですねぇ東京で番組を1本持っているというのは維持したいですね」
浜田「東京へくることはボクらにとってマイナスにはなりませんからねぇ」
松本「大阪にばっかずっとおるとどうしてもダラけるとこが出てきますからね。別にボクらが天狗になっているワケではないけど、『まぁこの程度でええわ』という部分で納得してしまうことがあるんです。でも東京に出てくるとすごくいい刺激になりますわな。東京ではまだペーペーなんで、ちょうどボクらが出たての頃の緊張感があります。
そして『明日大阪帰ったらまた頑張ろう』って気になりますね」
東京でラジオのレギュラーを持つ気は?
松本「ウーン……(長い沈黙)。それやったらまずサブから始めたいですね。気の弱いことをいうよですが、このほうが正解でしょうねぇ。 ところがテレビはまったく逆に、あくまでも自分たちが主役で登場しないとちょっと辛いところがありますね。今ちょっと辛いですわ(笑)」
浜田「テレビやラジオのスタッフでも『ダウンタウンっていう漫才コンビが大阪で大人気らしい」というレベルまでは知られてるいるんですけど、それ以上のこととなると、それも知らないらしいですわ」
松本「ほんまに気弱なこというわけじゃないけど、別に東京で売れなくてもいいと思うでますよ。大阪なら大阪だけでもいいって。無視して東京いって、簡単に潰されてしまったら何の得にもなりませんもんね」
‘87年11月20日
東京、フジテレビ・タレントクロークにて
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ちなみに「ラジオはあまり熱心に聞いていない」というような趣旨のことを話してるいるが、このころの聞いていないは今と全く異なり『「ある程度は聴いている」が回りにもっと熱心に聴いている人がいる、彼らにはかなわない』くらいの意味であると思われる。というのは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』で『ABCヤングリクエスト(キダ・タロー作曲)』のテーマを聞いて「懐かしい」と驚いたような顔をしているのが放映されていたことから伺える。
なお、雑誌冒頭のカラーページには、
●立花理佐
●野沢直子インタビュー
●コサキン浅井企画社長のイラストハガキ特集
パーソナリティー人気投票では、
1位:コサキン「スーパーギャング」
2位:小森まなみ「mamiのRADIかるコミュニケーション」
3位:斎藤洋美「ラジオはアメリカン」
4位;森川美穂「青春放送局」
5位:小堀勝啓「わ!WIDEとにかく今夜がパラダイス」
6位:矢尾一樹「やってやるぜ情報局」
7位:三宅裕司「ヤングパラダイス」
8位:南野陽子「ナンノ!これしきっ!」
9位:菊池桃子「あなたと星の上で」
10位:沢田幸二「PON~Nぼくらラジオ異星人」
11位:デーモン小暮「オールナイトニッポン」
12位:高井麻巳子「ほほえみメッセージ」
キリがないのでこれくらいにしておきます。
この雑誌を毎月買っていた頃の自分に合って色々言いたい。