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「ネットと愛国 – 在特会の『闇』を追いかけて」安田浩一(著)講談社刊の感想文

23 5月

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)小林よしのり辺りからフジTVデモ位でどうも一線を越えたなぁ、と思っていた保守運動だが、いつの間にかある程度の支持者層が出来てきたようで、やしきたかじんの番組などでとっくに死後になったと思っていた”売国奴”という言葉を普通に言うにようになり違和感が大きくなった。たぶんこれは私の思想信条に偏りがあり、どちらかと言えば左寄り、もしくは中道左派位(自分では左翼趣味と呼んでいる。左翼と名乗るほど勉強してないので)だからなのかと思っていた所にこの本を読んだので、凄いショックを受けた。愛国者の純粋な気持ちは理解しているつもりだったが、在特会の「闇」は予想以上だった。

著者はしっかり在特会周辺を取材して、実際に話を聴き素晴らしいレポになっている。私はこの本を読むまで色々勘違いをしていた。勘違いは次の通り。

1:在特会のメンバーは在日外国人(特に在日韓国・朝鮮人)の人と係わり合いが無い、もしくは話したことが無い。

2:在特会の会員は天皇もしくは皇室、日本人を敬っている。

3:在特会の会員は日本・日本人の文化についてよく知っている。

特に1.は確実だと思っていた。民族ではなく個人を見たら日本人と見分けは付かない。だから・・・

在日朝鮮人でも好きな人は好きだし、どうも性格が合わないなぁという人もいる。それくらいで別に気にする必要も無いと思っていた。学生時代は韓国・中国・アメリカからの留学生とも仲良く話してた。そういった経験の無い人なのだろうなぁ・・・と思っていた。

ところが本を読むと、在日韓国・朝鮮人の人と関わりのある人でも運動に参加している。(p139,314)しかも、友達で自分の主張と友情の天秤で悩んでいる人や自分が外国人(本書ではイラン人と日本人のミックス(本書ではハーフという書き方をしているが、ご本人たちはこの言葉には半分・半人前というようなニュアンスがあるため好まないと聴いたのでここではそのように書く。)という当の在日外国人も会員にいた。

これは凄いことだな

というのが正直なところ。

2,3:についてもアレ?と思った。

天皇陛下は日本国憲法を尊重し「現憲法下での象徴としての地位」を受け止め、日の丸掲揚についても「強制は望ましくない」と考えていらっしゃる。しかしながら在特会の主張やスピーチには殆ど天皇陛下や皇室に対する言及が無く、(書くのも嫌なのだが)「チョンは出て行け」「シナ人は出て行け」など『「在日(朝鮮・中国人)外国人」が嫌い』から始まっているように思える。皇室を敬うが出発点ではなさそうだ。

また、日本人を敬うなら日本で差別に苦しんでいる被差別層へのバッシングなど行わないと思っていたが、”水平社博物館事件”と呼ばれる事件にて「エッタ」「ドエッタ」と呼び、現在首謀者は博物館から慰謝料1000万円を求める訴えを起こされている。その際在日関係の写真展をやっていたことが気に喰わなかったらしい。

また広島の原爆ドームの目の前で核武装を主張するという「ヤッちまってるなぁ・・・」と思える行動に出た。確か田茂神某も同じ主張をして広島の人から総バッシングを受けたと聞いた。私なら「日本人の命を奪った核兵器などとんでもない」と思うのだが、どうもこの意見は左翼による自虐史観らしい。

これらの間に行動する保守陣営内部での分裂があったようで、色々と保守同士での内ゲバがあったらしい。安保闘争末期の凄惨なものではなく、ネットでの誹謗中傷に留まっているようだが、その過程で在特会は孤立を深めどんどん主張が先鋭化していく。まるでカルト教団を見てるような感じだ。宗教社会学などの本を読む限り、宗教団体は抑圧されるほど先鋭化し、内部の結束が高まる。教祖が出した予言が外れると、辞めていく人も多いが残った信者は「教祖や我々の活動のおかげで危機が回避された」と思い更に強い結びつきが発生する。

著者の会員に話しを聞きながら、会員たちの承認欲求について思いをめぐらす。会長の桜井誠に対しても。私も承認欲求が人より強いと思っているが、この行動は起こさない。言葉を変えるとそういった機会が無かったし、主張に共鳴できなかったし、一緒に行動する機会があってもそんな勇気はないと思う。

承認欲求は人間の根強い欲求だと思うので、簡単には終わらない。ここでも宗教社会学の学説を借りると、宗教行事や集会へ行くと「お帰りなさい」など戻ってきた、仲間に入った、と思えるような言葉を多用する。私は趣味で新興宗教の本部や行事を見学するのだが、そういった例を沢山見た。

この承認欲求は厄介な問題だと自分でも思う。どうしたらこれが満たされるのか?と私が訊かれたとしてもよい回答が出来ない。

読み終えたあと、主にツイッターでやり取りされる”反・左翼”や”反・在日韓国・朝鮮人”の主張を見てみる気がした。相変わらず根拠がイマイチなのだが。それらの人のツイートを読む限り、著者は”左翼で在日朝鮮人”と思われているらしい。敵は在日韓国・朝鮮人、それに加勢する企業や民主党は敵。もう一歩で陰謀論になる。たぶん主張彼らの言っている”在日朝鮮・韓国人”をロックフェラー家やフリーメーソンと読み替えても変わらなく日が来るかもしれない。

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2件のコメント

投稿者: : 2012/05/23 投稿先 BOOK, NEWS, Twitter,

 

「ネットと愛国 – 在特会の『闇』を追いかけて」安田浩一(著)講談社刊の感想文」への2件のフィードバック

  1. 2014/01/09 at 15:30

    在特会が出てきた要因というのは「対日レイシズム」という概念を認められない人には理解できないままだと思います。
    戦後教育の中で「在日は強制連行の被害者で差別されてかわいそうな人達です」と教育されてきて、日本の新世代の間にはそのような認識が広がっていた。
    ところが、その内容が嘘だらけだったと。今日の嫌韓・在特会の勃興の根本的原因はこれです。
    世代が変わっているのに、被害者と加害者の関係を固定化した状態がそのままである理不尽さに反感が募っているわけですね。
    安田浩一氏はそこに触れないようにして逃げている。そこが問題なんです。まあ触れたらコリアン側から裏切り者扱いで切られますから仕方が無いかもですが。

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    • kamiken

      2014/01/10 at 15:24

      コメントありがとうございます。

      一万歩譲って貴方の通りだとして、何で水平社博物館へ行って「どエッタ」と言わないといけないでしょうか?
      言うべきは展示物に関して意見を述べればいいのに・・・と思うのです。
      「どエッタ」なんて言葉、いい歳した大人が使っていい言葉かいけないかくらいはわからないのかな・・・と思います。

      連合赤軍のように先鋭化し言動が過激になっている状況に思えます。

      更に本書が一方的な視点で書かれていたとしても、書かれているのは在特会員たちのドキュメントであってその点だけでも優れていると思います。
      私は本書でも読まない限り会員の心情や生活などわかりませんから。

      反在特会側を描いた同様の書籍があればそちらも読んでみます。何か良書をご存知ではありませんか?

      いいね

       

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